「残念ながら敵が受けた傷はこれだけだと思う。(中略)… かれにとって恐ろしい打撃となったのは、むしろエルベレスの御名だった。」
指輪物語1 旅の仲間(上)
(J.R.R.トールキン著/瀬田 貞二訳、評論社)
Elbereth(エルベレス)とは、ヴァラール(至上神によって創造された、いわば神々というべき存在)の一人で、特にエルフから崇拝される「星の女王」ヴァルダの呼び名のひとつ。
エルフ語*1で「星の妃」という意味で、特にエルフたちの間では親しみと畏敬の念を込めて「ア・エルベレス・ギルソニエル」(星々の后、光の女王よ!)という風に呼ばれることが多い。
暗黒に住まう邪悪の者たちにとっては「暗黒の夜に光をもたらした」忌むべき存在、恐怖と破滅の象徴であり、原作ではその(エルフ語の)名前だけでもかれらを怖気づかせる祓魔の力を持っていた。
この由緒ある言葉(E wordと呼ばれる)を床に刻めばアラ不思議、魔物が退散する。
つまり、これを目撃した敵がまったく寄り付かなくなる。
- 3.6.0?では、Elberethの効果は調整された。
- @が今いる場所だけを守る。ベースキャンプは巻物で守ろう。
- Elberethの字が先頭に残っている時にしか働かなくなった。つまりElberethElberethElbereth……と何度も書いたり、かすれた文字に書き加えたりしても意味がない。
- ゲヘナおよび最終試練においては働かない。
- Elberethが@を守るたびに文字がかすれる可能性がある。焼き付けた場合でも同様。
- (3.6.0のみ。3.6.1以降ではこのタイミングではかすれない)
- 3.6.1?ではさらに、
- Elberethに守られた状態で敵対的な行動(例えば打撃、射撃、ワンドを振るなど)をした場合、即座に文字が消滅するとともに属性値が-5される。
- 硬度の低い物質や指で床のほこりに書くと、数ターンで消えてしまう。
- 硬い宝石や武具、ペンなどで床に刻めば、それなりに長い間消えないですむ。さらに、浮遊しておけば、その上で休んでもまず消えない。
- ある種の杖で床に文字を焼き付ければ、何か特別な力が働かない限りは消えなくなる。当然魔力を消費する。
- なにゆえか、扉に刻みつけても意味がない。同様に、岩に刻みつけて落し穴を塞いでもこの効力は発揮しない。
刃先のある武器等で刻むこともできるが、
普通は刃こぼれしてしまい、最後まで書ききることができない。
武器自体の強化値も限界まで下がってしまい、使い物にならなくなってしまうだろう。
しかし、アサメなら刃を鈍らせることなくいくらでも書くことが出来るし、
指などで書いたときと同様、1ターンで書き終える。
この御名による魔力は、あくまで自身を守る類の性質ではなく、それを認識した相手に働きかける作用である。
このため視覚を持つ敵がカメラの閃光などで盲目状態になった場合、
その敵はこの神聖な文章に怯えることがなくなってしまうので
、観光客は気をつけよう。ただし、ゼリー系などといった
「もともと視覚を持たない者」にはちゃんと通用するようだ。
全てのモンスターに通用するわけではなく、シンボルが'@'のモンスター
や天使、ミノタウロスなどには全く効果がない。
これらの敵に対抗する手段がないといずれ手詰まりになってしまうだろう。
さらに詳しく知りたい方はKate Nepveu氏によるのスポイラー(英語)を参考にするとよい。
この言葉は俗に「Eの字(E word)」と呼ばれる事もある。
ゲーム内ではなく、NetHackerのnetnewsや掲示板などでネタバレを気にしつつElberethについて話題にするときに用いられた。
現在はこの手の配慮はほとんど行われていない。
そもそも(現行の)公式ガイドブックにはElberethの効果が明記されている。
3.4.3?までのvanillaでは、自機の場所以外でも効果があるなど、3.6以降の制限がなく、かなり強力だった。*2
そのため、SporkhackやFHS Patchなど、Elberethの効果が減殺されたヴァリアントも作られた。
「Eの字に頼れない」というだけで結構なゲームバランスの変化を体験できるものだったが、ついにvanillaにもバランス調整が導入された。